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人民元切り上げに否定的な経済学者らの見解をいくつか紹介しよう。
ステファン・ローチ氏(モルガン・スタンレー チーフ・エコノミスト)
中国は混乱する世界のスケープゴートとなっている。現在、中国に再度人民元為替政策の見直しを迫る声が世界的な風潮となっているが、これは大きな誤りである。各国の中国理解は全くお粗末だと言わざるをえない。私は人民元切り上げを迫る背景が気がかりである。自身の責任を果たそうとしない国家も中にはあるということだ。よくあることだが、日本を含め、弱体化している国はその原因を自らに求めず、他国になすりつけようとする。現在、中国は混乱する世界のスケープゴートに仕立てられているが、世界経済の不況と人民元の為替レートはあまり関係ない。多くの人が中国の競争力が安価な労働力、技術力、インフラ、人材、そして改革への情熱等であることを見落としているためである。中国が如何に世界と共存するかを学んでいるように、世界も中国との共存を模索すべきだろう。欧州や日本はスケープゴートである中国をしばしば名指しで非難するが、これは、こうした国々の経済がいかに衰退しているかを反映していると言えよう。 「ユーロの父」マンデル教授
人民元切り上げはまだ適当な時期ではない。その根拠を8つ挙げてみる。第1に、人民元は自由兌換通貨ではないことが挙げられる。人民元の自由兌換化は中国経済の長期的目標であるが、人民元切り上げを実施すれば人民元の自由兌換化はしばらく棚上げされることになる。私は、人民元の兌換範囲を徐々に拡大し、レートの安定を保つというやり方が望ましいと考えている。第2に、仮に人民元を切り上げれば、デフレが加速する。なぜなら、人民元を切り上げれば輸入品の価格が下がり物価が下落するからだ。第3に、外資の対中直接投資が減少する。投資家が人民元切り上げの実施を知っていれば、当面は投資を控え、切り上げを待って参 入するはずだ。また、外国投資家への利益は減少し利益率も下落するため投資は減速するだろう。人民元切り上げは外資の直接投資を縮小するのである。第4に、利益率が下がる。第5に、経済成長が減速する。第6に、失業問題が拡大する。第7に、財政赤字が拡大する。第8に、人民元政策を不安定にする。従って、現在切り上げを実施するのは適当でないと言える... |