日本語版   中国語版       2004年3月23日 
 

 第10期全国人民代表大会(全人大)第2回会議が5日北京で開幕した。開幕式では、温家宝総理が国務院を代表し政府活動報告を行った。

 温家宝総理は政府活動報告で、今年の経済政策の主要任務を提示し、政策遂行上の基本構想を詳述した。同時に、「経済の穏やかな高成長を実現し、急激な変動は防がなければならないと」明瞭に指摘した。

 政府活動報告を審議する各代表委員は「報告の全体構想から、将来の中国経済の三大動向を詳細に捉えることができる」と考えている。

 

経済成長の列車は「特急」から「安定した快速」へ

  「速度偏重から、構造調整や成長の質と効益を一層重視した経済成長へ」――。政府活動報告から、各代表はこの点を際立って感じ取った。

 2003年、さまざまな困難に打ち勝った後に、中国経済には高度成長の良好な形勢が現れた。だが同時に、一部地域と業界に過熱化の兆候も現れた。エネルギー・交通・一部原料供給のひっ迫、資源および環境面での圧力増加、盲目的な投資激化、食糧生産量の減少などが、経済バランスに不均衡をもたらした。

 政府活動報告は、今年の経済成長の所期目標を7%前後とした。これは、マクロ経済に対して適度な調整を行うという信号が出されたのに等しい。河南省常務副省長の王明義代表は「いくつかの地域・業界に対し、投資過熱と低水準の参入過多に『赤信号』が灯ったと警告するものだ」との見方を示す。

 効益の成長なくして、真の成長はない。河南省駐馬店市市委員会書記の宋セン涛代表は「中西部地域では、経済構造調整の重視が日増しに高まっている。構造調整によって、エネルギー効率が悪く、高い汚染物質を排出する企業を淘汰し、経済を『クリーン化』することが、差し迫った任務となっている」と語る。

 青海省委員会書記の趙楽際代表は「西部地域は外来投資を歓迎するが、汚染性の高いプロジェクトは決して歓迎しない」と強調。ある上海代表は「この5年間、上海の紡績業は生産が制限・圧縮され、製造業の外地移転が続いている。その一方で、サービス業やハイテク技術産業は急速に成長している」と話す。上海の現実と政府活動報告の構想に基づき、上海経済における実物経済への依存度はさらに低下していくだろう。

 経済成長は決して速度の上昇とイコールではない。黒龍江省代表は「『穏やかで速い』ことが、今年の経済政策のキーワードだ」と指摘する。効益を基礎として重視した上で一定速度の成長を維持し、中国経済を新たな段階へと移行させる。

 政府活動報告は、政策の実施の度合いと重点を適時、適切に調整しなければならないことを提起している。急ブレーキや、画一的な処理を行うのではない。各代表委員はこれに強い印象を受け、「市場経済調整構想の運用は、単純に行政手段に頼るよりも良い。これにより経済は、急激な過熱と沈滞という悪循環から脱することができるだろう」と指摘している。


経済成長の原動力は政府主導から市場主導へ

  政府活動報告から、外部の力による経済成長推進方式に向けた変化が起きていることが読み取れる。政治協商会議経済界の一部委員は「これは、国債発行の減少と国債用途の変更とから、明らかだ」と指摘する。改革の活力として、経済市場化の要素がさらに強まり、市場のけん引力が強まるだろう。

 今年の改革重点の1つは、運用構造と成長方式の問題解決だ。この問題を解決する鍵は、改革により、市場に資源配分の基礎的役割を担わせることにある。宋セン涛代表は「好機を捉えて経済体制改革を深める。つまり政府は全力を投じて、経済発展における体制的障害を取り除き、経済発展の内在的原動力を向上させるということだ」と語る。

 中国工商銀行・河南省分行行長の左新亜代表は「西北電力網と南部の多くの省区で昨年、電力使用制限が敷かれたことは、現在の投融資体制と経済市場化における際立った問題を暴露するものだ」と指摘する。電力や鋼材などの一部原料の供給がひっ迫する一方で、多くの業種で生産過剰が、一部業種では低水準の参入過多の問題が際立っている。政府活動報告は、「投資するものが意志決定をおこない、その収益を得ると同時にリスクも引き受ける」と表現する。政府による、この新しい投資者責任追及制度は、改革の重点方向となるだろう。 

 河南省南陽市委員会書記の何東成代表は「わが国の民間投資は転換的な成長を始めている。これは経済の活力が強まっている重要なしるしだ」と話す。報告は、非公有制経済の発展を強力に推進すると提起する。これは経済の自主的成長に向けた「エンジン」を作り上げていくことになるだろう。

 各代表委員は「増値税を生産型から消費型へ少しずつ移行させる」と報告に示されたことは、企業投資の負担をさらに軽減し、効果的な投資の増加をもたらすものだと考えている。

 国家統計局副局長の邱暁華委員は「中国経済は新たな発展の段階へ入ろうとしている。つまり、政府・政策主導型の経済成長段階から、政策と市場活力が共に経済成長をけん引する段階への移行だ」との見方を示す。

 報告は固定資産投資規模の適切な調整に関し、「市場を道しるべとして堅持し、経済と法律を主要手段に、必要な行政措置を補助的手段として誘導と調整を強化しなければならない」と明確に述べている。報告書に挙げられた5つの具体的措置から、各代表は経済誘導方式の変化を感じ取っている。


経済成長モデルは局部的急成長から全体的成長へ 

   農業の基礎的地位を強化し、西部大開発と東北地域の旧来型工業基地の振興を推進する――報告に打ち出された一連の新措置は、中国経済の成長モデルに今まさに静かな変化が起きていることを示している。中国金融学会副秘書長の秦池江代表は「局部的急成長から全体的成長へと向かう時代がすでに始まっている」と話す。

 中西部農村地域の各代表は「今回の報告における農村支援は、これまでになく力強いものだ」と指摘する。現在、都市部と農村部の格差は拡大を続け、農村内部に蓄積する問題も深刻だ。「三農問題」(農業の振興・農村経済の成長・農民の所得増と負担減)の解決は、報告で「全活動における重点の中の重点」と位置づけられた。財政資金、国債投資にも、明らかに農村重視の方向性が見られ、歩調の合った発展を進める上での、重要な措置であると言えよう。

 黒竜江省省長の張左己代表は、農民の所得増は「三農問題」のキーポイントだと指摘する。報告は農民の所得増加のために、「特色ある方向を選び、良質な食糧を生産する」「牧畜業を強く発展させる」「農村労働力の移動を積極的に進め、出稼ぎ経済を発展・強化する」「農業の対外開放を推進し、所得増加の手段を開拓する」「農村改革を進め、政策を通し所得増加を図る」――など、さまざまな方策を掲げている。地域ごとに、異なる状況に応じて所得増加の新たなルートを切り開くことになる。

 農村の発展は、実際には都市部の状況と密接な関連性を持っている。北京大学・中国経済研究センター主任の林毅夫委員は「農民の所得増加の鍵は、農民の数を減らすことであり、農民の数を減らすとは、都市部における雇用を増加させなければならないということだ」と指摘する。

 調和的成長の促進は、中国の現代化建設における、ひとつの重大な戦略課題だ。貴州省の慕徳貴代表は「拡大し続ける発展地域と未発展地域との格差を縮小し、経済と社会、人間と環境の調和の取れた発展を促進することが、強く求められている」と話す。

 「局部的急成長から全体的成長へ」――これは、新情勢の展開に応じて国家が決定した重大な戦略的措置である。趙楽際代表は「投入と支援は、西部大開発の重要な内容だ」と話す。同時にまた、東中部地域の発展があってはじめて、西部地域はさらに強い拠所を得られるという点にも目を向ける必要がある。国の「三農問題」重視策に伴って農業は発展し、青海省ではカリ肥料と複合肥料の売れ行きが好調になった。国の経済建設推進に伴って、電力市場も形成された。この意味から言うと、中東部地域の発展が速いほど、西部地域にも良い影響がもたらされるのである。


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