王毅氏が中国のグローバル・ガバナンス構想を説明、広がる中国外交の活躍の場

人民網日本語版 2024年03月08日16:29

王毅中共中央政治局委員(外交部長)は7日、中国の外交政策や対外関係について国内外報道陣の質問に答えた。この外相記者会見について専門家は、中国が世界をどのように見ているかを述べ、「平等で秩序ある世界の多極化とあまねく恩恵を及ぼす包摂的な経済のグローバル化の提唱」という2つの大きな主張を詳細に説明し、グローバル・ガバナンスにおける「中国の案」をより具体的に示したとの見方を示している。中国新聞社が伝えた。

中国国際問題研究院の蘇暁暉副研究員は「王氏はこの2つの主張について具体的に説明し、質問に答える中でグローバル・ガバナンスにおける『中国の案』をより具体的に示した」と語る。

まず、「平等で秩序ある」とはどういうことか? 王氏は「平等な多極化とは、権利、機会、ルールにおける各国の平等を体現するものであり、特定または少数の大国による国際問題の独占をこれ以上認めることがあってはならない。秩序ある多極化とは、国連憲章の趣旨と原則を共同で遵守し、普遍的に認められた国際関係の基本準則を共同で堅持することだ」と指摘した。

「中国は世界の多極化の揺るぎない支持者であり、積極的な推進者だ」。中国国際問題研究院の劉卿副院長は「多極化を推進する方法について、王氏は大国間関係の安定を維持し、周辺諸国と連携して共に歩み、『グローバル・サウス』と共に振興を図るといった具体的な手段を示した」と語る。

王氏は中露関係についての質問に対し、「中露はかつての冷戦時代とは全く異なる新たな大国関係モデルを確立した」と述べた。中米関係については、中国の立場が「相互尊重、平和共存、協力・ウィンウィン」であることを改めて強調したうえで、言動を一致させて約束を具体的に実行するよう米側に促した。中国EU関係については「中国EU関係に常に『青信号』がともり、滞りなく進むことを望む。中国とEUが互恵協力を進める限り、陣営対立は生じない」と述べた。

中国外交学院の高飛副院長は「今年は中露国交樹立75周年と中米国交樹立45周年にあたる。このような時代的節目において、大国間の良好な相互作用を促進することは、真の多国間主義の実践と世界の戦略的安定性の維持にとって重要な価値がある」と語る。

平等で秩序ある世界の多極化の促進においては、「グローバル・サウス」も重要な勢力だ。王氏はBRICSの加盟国拡大や「グローバル・サウス」の台頭について質問に答えた。「これは、多極化といえば少数の大国の事だというナラティブを中国が力の限り打破していることの反映だ」とする劉副院長は、「今年、中国アラブ諸国協力フォーラムが発足20周年を迎え、中国アフリカ協力フォーラムの次回サミットも秋に中国で開催される。これらは、発展途上国が団結・協力する『グローバル・サウスのパワー』の結集に向けた中国からのメッセージだ」と語る。

次に、あまねく恩恵を及ぼす包摂的な経済のグローバル化とは何か? 王氏は「あまねく恩恵を及ぼすグローバル化とは、経済発展のパイを大きくし、うまく分け合うものだ。包摂的なグローバル化とは、発展モデルを単一化せず、他国に損害を与えて自国に利益をもたらす一国主義や保護主義を放棄することを指す」と明確に説明した。

これについて高副院長は「あまねく恩恵を及ぼす包摂的な経済のグローバル化を促進するために、中国は具体的な開放措置を打ち出し、3月14日からスイスなど6ヶ国に対してビザ免除政策を試行し、中国駐在の各国外交官による地方訪問などをさらに多く実施すると発表した。これらは、中国が経済発展のパイを大きくし、上手く分け合い、貿易と投資の自由化及び円滑化をたゆまず促進し、世界経済の健全な発展を妨げる構造的難題を解決しようとしていることを反映している」と指摘する。

大いに歓迎される国際公共財である「一帯一路」(the Belt and Road)共同建設の第2の「黄金の10年」を切り開く方法についても、記者会見で言及があった。これについて劉副院長は「中国は独善的な現代化を追求せず、世界の現代化の加速器となることを望んでいる。『一帯一路』共同建設などの国際公共財は、中国があまねく恩恵を及ぼす包摂的な経済のグローバル化を推進していることを、最も良く示している」と語る。

近年、注目度の高い人工知能(AI)ガバナンスについて、王氏は「AIにおいても『科学技術の独占・封鎖、障壁の設置』を企てるのなら、新たな歴史的過ちを犯すことになる。各国の科学技術の発展を妨げることはできないだけでなく、国際的な産業・サプライチェーンの完全性を損ない、リスクや試練への人類の対処能力を弱めることにもなる」と指摘した。

これについて高副院長は「開放措置を自ら打ち出したことも、『科学技術の独占・封鎖、障壁の設置』『デカップリングとサプライチェーンの分断』に反対したことも、中国がグローバル・ガバナンスに関与し、これをリードする過程において、常に開放・包摂という建設的立場を堅持し、自国の新たな発展によって世界に新たな機会をもたらすということを物語っている」と語る。(編集NA)

「人民網日本語版」2024年3月8日

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