|
朱鎔基総理、中米貿易のアンバランスについて語る
朱鎔基総理は四月十四日、訪米を終える前に、マサチューセッツ工科大学で中米関係について講演し、その中で主に中米貿易の黒字問題について次のように述べた。
第一は、中米貿易の黒字についてのデータは誇張されすぎている。米国側の統計によると、一九九八年、アメリカ側の赤字は五百六十九億ドルに達したが、中国側の統計データでは二百十一億ドルで、その差はかなり大きい。米スタンフォード大学の劉遵義教授がこれについて深く研究した結果、この二つのデータはいずれも正しくないと述べている。その原因はこれらのデータは輸入分を計算する際に輸送費と保険料を含んでいるが、輸出分を計算する際にはいずれも含まれていないことである。また、中米貿易のかなり多くが香港中継で、香港での付加価値が高いことは配慮されていないし、密輸の要素も考慮されていない。そのため、この教授は、中米貿易の黒字は約三百六十五億ドルであると見積もっている。アメリカの対中サービス貿易の輸出を考慮すれば、赤字は約三百五十億ドルであった。
私はこのデータが正しいかどうかを論じるつもりはないが、少なくともこの教授は深く研究しているので、多くのデータは根拠とすることができる。中米貿易の黒字問題はそんなにひどいと見ないで欲しい。昨年、アメリカの貿易赤字は千六百九十億ドルでしかなかった。その他の赤字を加えると、総額は二千億ドル以下で、アメリカのGNPの二%を占めるだけであった。この比率はその他の国ではかなり普通のことである。数年らい、カナダの貿易赤字はそのGNPの二%を超えるものであった。これから見ても、アメリカにとって現在の貿易黒字問題はひどいものではないと思う。
第二は、中国の対米輸出の大部分は労働集約型、低付加価値の消費財であり、あるいは資源的な消費財である。これらの製品はアメリカが十五年も前にすでに生産を停止しているものである。そのため、これらの輸出はアメリカの産業と競合することはなく、アメリカの経済調整に役立つだけでなく、アメリカのハイテク産業の発展にも役立つものである。もしアメリカが中国からこれらの製品の輸入を停止し、それに代えてその他の国から輸入するとしたら、毎年、アメリカはそのために二百億ドルを多く支出しなければならなくなる。このデータは世銀のレポートに基づいて推算されたものである。
第三は、中国の対米輸出の七〇%以上は加工貿易である。つまりアメリカの企業を含む外国投資企業は中国で工場を作り、国外から輸入した原材料と部品を加工し、組立ててから、完成品をアメリカに輸出しているのである。この原材料と部品は主に日本、韓国、シンガポール、台湾、香港などの国と地域から来たものである。輸出製品を中国で加工した付加価値は極めてわずかなものである。事実上、中国の対米輸出はこれらの国と地域の対米輸出の中継である。アメリカは過去、これらの国と地域から消費財を輸入していたが、現在、これらの国と地域の労働力コストが高く、もう生産することができなくなった。それで、原材料と部品を中国に移転し、加工し、組み立ててから、アメリカに輸出することになったのである。したがって、アメリカの対中貿易の赤字は増えはしたが、そのトータルな貿易赤字は増加しなかった。
私のこの三つの観点は、中米貿易の黒字は単に中国に役立つだけではなく、アメリカにとっても非常に役立つものであることを説明したいためである。もちろん、中国はできるかぎり中米貿易の黒字を改善するつもりである。ワシントンに滞在している期間に、私とゴア副大統領は共に中米環境および発展シンポジウム第二回会議の開幕式を主宰した。私はこの会議で、中国は実践を通じて持続可能な発展戦略の重要性を深く認識し、発展と環境保全、生態テクノロジーは同じように重視されなければならないことを認識した。現在、中国のエネルギー、環境保全などの基盤施設への資金投入の多いことは史上見られなかったことである。中米両国はこれらの面で協力し、アメリカが輸出を開放し、技術を譲渡することができれば、数年内には中米両国の貿易のアンバランス状態を改善することができる。でも、これは中国側によって決定されるだけではなく、カギとなるのはアメリカ側が唱道する「自由貿易」が確実に実行されることである。現在、アメリカの対中輸出の制限は非常に厳しい。衛星の輸出も認可されていないし、中国気象局が必要としているコンピューターの輸出も制限されている。このようなことでは中米貿易はどのようにバランスをとることができるのか。私は皆さんに次のようなことを注意したい。昨年、アメリカが中国に輸出した機械・電子製品額は八十九億ドルに達したが、日本の中国に輸出した機械・電子製品額は百五十一億ドル、ヨーロッパは百四十八億ドルに達した。アメリカは中国へ小麦とミカンを輸出することを要求しているが、中国の大衆は小麦とミカンによって暮らしていくことができるのか。できるかもしれないが、中国の大衆はもっと素晴らしい生活をすることを願っている。そのため、カギとなるのは中米関係の戦略的な重要性を認識することであり、それでこそいくつかの問題は真に解決され得るのである。
中国はアメリカの潜在的なライバルではなく、敵でもない。信頼に値する協力パートナーである。中国がアメリカを脅かす可能性がなく、またアメリカを脅かすことはない。中国の一人当たりのGNPはアメリカより数十倍も低いものである。三十年、四十年、五十年を経ても、中米間の差はかなり大きいのである。中国はアメリカの最大の潜在的な市場である。中国はアメリカのパートナーであり、アメリカのライバルではない。 |