一緒に考え、一緒に作って、一緒に味わう達成感

みなさんは、感染予防週間(international infection prevention week)をご存知ですか?

 APIC(米国感染対策専門家協会)は1986年から10月の第3週を感染予防週間と提唱しています。そして、今年、私が派遣されているここ貴州省の遵義医学付属病院でも、記念すべき初めての感染予防週間が開催されました。

 このイベントを開くきっかけは6月に行ったある感染予防の勉強会でした。手洗いや手袋着用の重要性など、知識としてすでにスタッフらは知っていることばかりでも、日々の業務の中では完全に行えているとは言えない状況。「知識と行動のずれ」。そして、自分は行えているつもり、という「認識と行動のずれ」。これは、日本の医療現場でも指摘されることです。講義以外の形での普及方法を模索していた私は、よりよい感染予防対策を共に考えるスタッフを自主参加で募集してみました。最初は2人のメンバーだけでしたが徐々に興味を持ってくれる人が増え、最終的には22人のメンバーが自主的に集まりました。その活動の中で、イベント開催を提案したところ反応がよく、徐々にイベント開催に向けての準備が始まりました。実行委員のメンバーたちは忙しい勤務にも関わらず、昼の休憩時間中の会議にも積極的に参加してくれ、改めてメンバーたちの熱意や向上心に感心させられました。話し合いを重ねるごとに、斬新なアイデアも次々と出て、みなのアイデアが所々に詰まった遵義医学院付属病院オリジナルの内容となりました。

 イベント開催1ヶ月前の9月から実行委員は本イベントのロゴいりバッジを胸につけ、他のスタッフへの事前アピールはばっちり。さらに各病棟内の患者さん向けポスターを感染予防というテーマで統一し、病院全体の感染予防への気運が10月第3週に向けて徐々に高まっていきました。10月17、18日のイベントメインの日には、ポスターの設置、感染予防パンフレットの配布、手洗い実践コーナー、感染予防知識のクイズ大会、看護学生から募った感染予防標語の展示、感染予防医療物品の展示コーナー、感染予防専門家の講演会など、盛りだくさんの内容。5日間の朝と晩、30枚もの大きなポスターと机の設置や管理、片付けなどは多くの看護学生たちが手伝ってくれました。

 イベント期間中は4つの気球を上げて、気球の垂れ幕には感染予防標語の優秀作品を印刷し、当日には賞品もプレゼントされました。クイズや手洗い実践の賞品は、今後も必要な場面ではきちんと手洗いまたはアルコール手指消毒を、という願いをこめてハンドクリームなどが参加者に配られました。見てください!手洗い実践はこんなに長い列ができて、患者さん、医師、看護師、そのほかの医療職者、みなが共に学びあっています。会場におかれたご意見ノートには、「手洗い」がこんなに学ぶことが多いなんて知らなかった!こうしたイベントは新鮮で、ぜひ今後も続けて欲しい。などの意見が多数見られました。また、実行委員のメンバー数人がイベント中に「楽しい。」と話してくれました。私にとってこのイベント開催の目的は、感染予防の意識を高めるのはもちろんのこと、実行委員のメンバーに「楽しい!」と感じてもらうことでした。「患者さんとの交流って楽しい!」「看護って楽しい!」「主体的に関わることって楽しい!」このことをメンバーたちと共有できたことは、心の底からの喜びでした。

 イベント中に出会った、実行委員や参加してくれた患者さんやご家族、病院スタッフたちのたくさんの笑顔は、私の一生の宝物です。

 このイベントがきっかけとなり、今後少しでも、患者さん、患者さんのご家族、医師、看護師、そのほかの医療職者の垣根がとれ、一丸となって院内感染予防を目指していく、ひいては、よりよい医療のために手を取り合っていくことができたらと心から願います。 

17年度1次隊 遵義医学院付属病院 看護師 酒井順子