まるで「目覚まし時計」のような生活 「996」勤務体制に苦しむ若者たち (2)

人民網日本語版 2019年04月02日16:48

さらに、996勤務体制に対する関心から、現在の中国の若者が直面する社会的プレッシャーについて考えを深めることもできる。最近、1人の若者が自転車で道を逆走し、それを制止されるや突然スマホを地面にたたきつけてブチ切れ、「あまりにもプレッシャーがありすぎる。毎晩11時か12時まで残業続きだ」と大声で泣いて訴えたというニュースがSNS上で広く転送された。これは極端な例かもしれないが、こうした大量の事件が集まれば、それが現象となる。

中国社会科学院の調査によると、2017年における中国人の1日あたりの平均余暇時間は2.27時間だった。これに対し、米国やドイツの国民の平均余暇時間は1日約5時間となっており、中国人の2倍以上となっている。また、ある統計データによると、中国におけるうつ病の発症率は6.1%で、しかもこの割合は、ここ数年にわたって毎年上昇傾向にある。

これらの現象には、複数の原因が重なり合っている。しかし、996勤務体制や、高い不動産価格に低い出生率といった社会的現実と結びつけると、若者たちが相当なプレッシャーに直面していることは容易に想像できる。その昔、中国は韓国や日本を若者に対するプレッシャーがかなり大きな国であると見なしていた。しかし中国社会も、若者にプレッシャーが「大挙して押し寄せる」時代に突入したことを現実が証明している。「どの世代であれ、青春とは容易ではない」ことは確かだが、現実から見るにせよ、他の国の先例を見るにせよ、若者たちにのしかかるプレッシャーが大きすぎることから生じる社会全体へのマイナス影響は、決して軽視してはならない。若者たちは奮闘しなければならないが、社会に「決まった時間に鳴る目覚まし時計」のような若者がますます増える状況は、喜ばしいこととは決して言えない。

当然のことながら、若者のプレッシャーを軽減するためには、単に彼らの労働時間を減らせばよい、ということではない。また、ある特定の業界や企業だけの責任でもない。社会システムの方面から若者に対するプレッシャーをどのように減らすかについては、時にはマクロ的な視野に立って正面から直視する必要がある。996勤務体制が反発に遭ったことは、単なる警鐘のひとつに過ぎない。(編集KM)

「人民網日本語版」2019年4月2日

最新ニュース

注目フォトニュース

コメント

| おすすめ写真

ランキング