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【第14回】
エッセイや翻訳などにはこれまで通り取り組んでいくつもりですが、中国のいろんなコンテンツを日本に紹介したいとも思っています。相互理解の大前提としてあるのはやっぱり「興味を持つ」ということですから、中国の面白いものを発掘してどんどん紹介していきたい
少し前になりますが、中国のアニメを日本に紹介したいと思って努力していたことがあったんです。今の北京を表現している面白いアニメを見つけたので、「オリンピック前にこれを売り出したら絶対にいい」と思ったんですね。こちらのテレビ局との交渉はうまく行ったんですが、日本の壁は高かった。いくつか日本の会社をあたると、「内容はおもしろいけど、アニメの技術がまだ低い」「日本人の目は肥えているから受け入れられない」というんです。せりふの翻訳をしてサンプルまで作ったんですが、残念でしたね。胡同(北京の昔ながらの町並み)に住む人々の生き方や考え方をとっても正直に描いているんですよ。
そうなんですよ。だからぜひ売り込みたかったんですけど(笑)。去年の末、日本人の対中親近感が31.8%にまで下がったという報告がありましたね。日中関係はよくなっているようで、やっぱりどこかぎくしゃくしている。私としてはそれがすごく残念なんです。誤解している部分がいっぱいある。インターネットの掲示板でも双方ともに理解不足からくるひどいコメントがたくさんありますよね。そのコメントを書き込むのは一部の人なんだろうけど、何も知らない人はそれに影響されてしまいます。そういうのがやっぱり悔しくて、「そうじゃない」っていう気持ちがある。だから、アニメでも小説でも音楽でもいいから、中国の本当の姿をもっと見てもらいたいという思いがあります。
小林さんの住む下町の界隈 |
これまでとスタンスは同じですね。いろんな人の意見を聞きながら、中国の社会や文化、人々の意識がどう変わっていくのかを見続けていきたい。日本と中国はアジアで最大の経済大国です。中国は今後も発展していくし、いわば「付き合わざるをえない」国だと思うんです。日本と中国が、「反中」や「反日」という段階を乗り越えて、「ウィンウィン」の関係を築いていけるのか。それをどうやって実現させるのか。中国でどんなことが起こっているか、どんな変化があるのかに興味は尽きないし、これからもそれを伝えていきたい。個人の小さな力ですが、情報発信の一つのアンテナになれたらと思っています。
「ニュースや新聞はマクロな情報ばかり伝えていて、一人ひとりの姿を伝えられていない」。小林さゆりさんの指摘には、ニュースサイトの作り手としては残念ながら、うなずかざるを得なかった。「木を見て森を見ず」という言葉があるが、「人を見て国を見ず」ということは決して悪いことではない。視点の違いといえばそれまでだが、「国を見て人を見ず」という方がよほどたちが悪い。一国の人々の間にも差異がある以上、「人を国の代表として見る」よりも、「国を人の集まりとして見る」ことこそが健全なあり方だろう。小林さんのつづるエッセイからは中国に住む人々の顔が確かに伝わってくる。「親中」「親日」「反中」「反日」といった新聞の統計からは決して伝わってこない確かな触れ合いの姿がそこにはある。(人民網日本語版記者 増田)
小林さんのブログ「北京メディアウオッチ」はこちら(http://pekin-media.jugem.jp/)から。